
皆さま、こんにちは。株式会社プラグフラックスの小森です。
弊社は毎年1月はバタバタしており、ついこないだ年が明けたと思ったらもう2月になっていましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
これから寒さ本番だとはいえ、気付いたら春になりサイクルシーズンに突入すると思います。
今回は、春に向けた先取り情報として7R bagsが使用する生地、「Ultra200x」について書いていこうと思います。
Ultra200xって、なに?
「Ultra200x」はアメリカのChallenge Outdoor社が開発した複合ラミネート生地です。
UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)、知られている所の「ダイニーマ」という繊維素材を使用して作られていて、繊維素材の中でも超軽量ながら高強度だと言われています。どれくらい強いのかと言うと、鋼鉄と質量を同じにして比較した場合、鋼鉄より15倍もUHMW-PEの方が高強度という恐ろしい生地です。
そして「Ultra200x」は、そんなUHMW-PEを67%も含む超軽量で超高強度な生地です。
さて、そんな素晴らしくも恐ろしい「Ultra200x」ですが、なぜか自転車業界、バイクパッキングブランド界隈で採用している所はほとんどありません。メーカーとして採用しているところは7R bagsだけではないでしょうか。そもそも「Ultra200x」の存在自体を知らない人が多いと思います。
ところが、山登りのアウトドア業界では、ここ1〜2年の間に多くのブランドから「Ultra200x」を使用したバックパックがリリースされ、特にUL(ウルトラライト)界隈では知らない人はほとんど居ない状態です。
では何故これほど「Ultra200x」の知名度に違いがあるのか考えてみると、極端かもしれませんが、山登りのバックパックは自転車で言うところの『フレーム』くらい重要度が高いからだと思います。ニュアンスとして、“フレームを変えたら剛性が倍以上に高くなって、1㎏も軽くなったにも関わらず、クロモリ並みに耐久性を持っている!”くらいのインパクトを「Ultra200x」はもたらしました。
とはいえフレームに比べると、パッキングバッグはインパクトが少ないかもしれませんが、グラム1万円と言われるほど軽量にこだわるサイクリストの皆さまにとって(僕もサイクリストの端くれです)、「Ultra200x」が持つ軽さと強度という、相反する要素を兼ね備えたパッキングバッグは非常に魅力的ではないでしょうか?
それでは次に、「Ultra200x」が従来の生地と比べ、どれほどのアドバンテージを持っているのかを比較していきたいと思います。

パッキングバッグ生地比較。
今回の比較にあたり、多くのバイクパッキングブランドで使われている生地をいくつかピックアップして一覧にしました。
生地 | 厚さ (D) | 重量 (g/m²) | 引裂き強度 (N) | テーパー摩耗試験 |
Ultra200x | 200 | 133 g/m² | 458.8 N | 4,400サイクル |
Cordura 500D | 500 | 231 g/m² | 133.45 N | 1,000サイクル |
X-Pac VX21 | 210 | 210 g/m² | 108.5 N | 500サイクル |
400D Nylon | 400 | 180 g/m² | 68.8 N | 500サイクル |
このように一覧で比較すると、「Ultra200x」の数値が突出している事がわかると思います。面白いのが、「Ultra200x」以外の生地は重量と強度が比例している、つまり生地が軽くなればその分だけ強度が下がっています。
ところが「Ultra200x」だけはそれに当てはまっておらず、最も軽いにも関わらず最も高強度です。
「Ultra200x」の次に軽量な「400D Nylon」より35%軽く、「Ultra200x」の次に高強度な「Cordura 500D」より3倍以上の強度があります。更に「Ultra200x」は耐摩耗性においても、次点の「Cordura 500D」に対して4倍以上の耐久性があります。
そしてユニークなのが、「Ultra200x」は厚みが一番薄い点です。一見するとペラペラで紙のような印象ですが、薄くしても高強度を確保しているので、結果的に軽いという事になります。
このように、全ての点で「Ultra200x」のスペックは突出している事がわかると思います。そしてこれら全ての要因は、前述した繊維素材である「UHMW-PE(ダイニーマ)」が起因しているのです。これほどまでに「UHMW-PE(ダイニーマ)」は、生地において異質なほど高いスペックを持った素材なのです。

「Ultra200x」のまとめ
それでは最後に「Ultra200x」の特徴をまとめました。
・他の生地と比べて、最も軽量でありながら、最も高い強度を持つ
・擦れやほつれに対して最も耐性が高い
・生地自体が最も薄いので全体的にコンパクト
・UHMW-PE(ダイニーマ)特有の、紙のような質感が独特
・生地自体「200+ PSI」の完全防水(サドルバッグは縫い目のシーム処理済み)
というわけで今回は、7R bagsからリリースされた「Ultra200x」について解説してみました。
馴染みのない生地なのでなかなか踏み込めないかもしれませんが、登山界隈ではかなり主流になりつつある生地です。
僕的にはサイクリストにとって最良の生地だと思っていますので、気になる方は以下の詳細ページをご覧ください。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!